保育園の給食を専門業者に委託するメリット・デメリットとは?

公開日:2022/07/15   最終更新日:2022/08/08

保育園の給食は、直営で提供している場合と専門業者に委託している場合があります。近年はさまざまな企業が給食業界に参入しているため、給食委託を依頼できる場所が増えてきました。給食の専門家が提供するサービスには、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。給食の役割と合わせてご紹介します。

保育園における給食の重要性

保育園における給食の重要性については、厚生労働省が“保育所における食事の提供ガイドライン”においても丁寧に解説します。

■給食は子どもの生命を維持する

食べ物を食べない、という人間はいません。病気で食事ができないという場合でも、何かしらの栄養を身体に取り入れなければ生命維持は不可能です。大人でも子どもでも、ひとしく食事で栄養を摂取します。

保育園での給食はさまざまな役割を果たしていますが、成長が著しい子どもたちの栄養補給の機会というのがメインです。

■食事をするための臓器や味覚の発達を促す

生きていくために必要な保育園での給食ですが、給食の際に食事を摂取するためには、噛む、飲み込むといった基本的な嚥下機能の発達が必要です。年齢や成長に合った給食メニューを食べることで、段階的に自然なスピードを経て子どもの嚥下機能獲得が期待できます。

また幼少期に食べたものによって、その後の長い人生における味の好みが形成されるのです。薄い味つけの食事をバランスよく取り入れた給食メニューによって、好き嫌いを予防する役割もあります。

■不規則な食習慣を改善する

各家庭で食事に関する指導や、食事の栄養バランスは異なります。中には不規則な食事内容や食事時間が矯正できず、悩んでいる保護者もいるでしょう。

保育園の給食はアレルギーなどの場合を除いて、年代ごとに同じメニューを食べます。また食べるタイミングも1日のスケジュールの中で統一されているため、生活リズムが整っていくことも給食の役割です。

保育園の給食を専門業者に委託するメリット

かつては保育園の給食を外部に委託する、という発想自体があまり浸透していませんでした。しかし認可外保育園などさまざまな種類の保育園が増え、給食が保育園選びの一つの指標となっています。直営ではなく専門業者に保育園給食を委託するメリットを確認しましょう。

■洗練された質の高い給食メニューを味わえる

給食委託を行っている企業では、保育園だけに給食を提供しているわけではありません。大学の食堂や医療機関など、さまざまな世代・ジャンルに対して給食メニューを考案しています。豊富な経験に基づいて改良を重ねられたメニューは、味や栄養面で直営の給食サービスよりも優れていることが期待できるでしょう。

■専門的な食育が期待できる

給食メニューを提供するだけではなく、食育に関するサービスを提供している企業もあります。保護者向けに食事に関する講演会を開催したり、子どもが食事に関して考える機会を設けたり、食育の面でもサポートが受けられるのは大きなメリットです。

食育は専門業者に任せるという分業をすることで、多忙な保育士さんの業務負担が減ることも期待できます。より子どもたちへの生活面における指導や関わりの時間が増えて、子どもの心身の健やかさや保護者の安心にもつながりますね。

■衛生基準が保証された安心のメニューが食べられる

給食メニューを提供する企業などは、HACCPという食の安全確保を行うための手順を守ることが義務化されています。HACCPでは食材の確保から調理、そして施設への出荷まで厳格に工程の管理を記録することが必要です。HACCPに沿った衛生管理がなされている企業の食事であるというのは、それだけで安心感がまったく違います。

保育園の給食を専門業者に委託するデメリット

保育園に通う園児の中に、重度のアレルギーを持つ子どもがいることもあるでしょう。もし給食提供が直営であれば、すぐにアレルギーに対応したメニューへ切り替えることが可能です。

しかし専門業者に委託している場合、決められた納品量やメニューがあらかじめ契約で決まっているため、なかなか迅速にメニューを変更することが難しくなってしまいます。

また保育園ごとに給食メニューを変えているわけではないので、個別性のあるメニューを依頼できないかもしれません。現場の状況に合わせて細やかなメニュー変更を行いたい、という保育園には委託サービスは不向きでしょう。

給食委託会社はどのような観点から選ぶべき?

さまざまな給食委託会社が存在しますが、何を基準に選ぶのがよいのでしょうか。

■給食メニューの変更は可能か

アレルギーを持つ子どもが入園してきた場合や突然アレルギーが判明した子どものために、給食メニューの内容変更に対応している会社を選びましょう。また変更の際に必要な時間がどれくらいなのかも、あらかじめ確認しておくことが大切です。園児のニーズに合わせた対応を迅速に行うことができる、柔軟な対応が期待できる会社はとても信頼できます。

■食育サービスを行っているか

保護者への食育説明会や、子どもが食事に関して学ぶことのできる機会を設けているかどうかも選択の基準にしましょう。専門業者が食事に関するサービスをすべて請け負ってくれることで、保育士さんはより子どもたちの成長発達支援に力を注ぐことができます。保育の質向上につながるため、食育サービス提供の有無は大きなポイントです。

 

給食は子どもの生命維持や、食事機能全般の発達、家庭で補えない食事面のサポートになくてはならないサービスです。給食の専門業者に委託することで、給食メニューの質を確保したり保育士さんの負担を軽減したりできるメリットがあります。委託会社を選ぶ際はメニューの変更や食育サービスに対応しているかどうか、といったポイントを確認しましょう。

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