給食の検食って何?検食を行う理由とは?
懐かしさを感じる給食ですが、検食というものを実施して食の安全性、子どもたちの心身の健康を守っています。皆さんは「検食」をご存じでしょうか?検食は食品製造業に関わる施設では、必ず実施しなければいけません。今回は検食をする理由と種類について解説します。ぜひ参考にしてください。
検食は何のために行うのか
学校で提供される給食においての検食とは、食の安全性と生徒及び児童の生命に危害要素が起こらないかを確認する重要な作業であり、衛生管理に基づき調理された給食を給仕責任者に該当する人が試食することをさします。
学校で提供されている給食は、学校給食法に定められた基準をクリアした食べ物となり、食の安全性が確保されています。ちなみに、給食の起源は明治22年の山形県鶴岡町に建てられた私立忠愛小学校で、無料で配られたことからはじまったとされています。
現代で当たり前に食べられている給食も、約130年が経過して食の安全性が高まっているのです。学校給食法とは給食の適切な栄養の提供、心身の健康の保持増進を目的にしており、昭和29年に成立し、平成21年に改正施行されています。
また新たに改正施行された学校給食法の中には学校給食衛生管理基準が記載されています。学校給食衛生管理基準には安心安全な学校給食を実施するため、HACCPに基づき食品の衛生管理の徹底が求められているのです。
HACCPとは、食品等事業者が食中毒汚染や異物混入等の危害要因を把握し、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、危害要因を排除するために重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。
給食委託される食品等事業者を含む調理場の施設及び設備の管理、食品の取り扱い、調理過程での作業内容、衛生管理などが組み込まれています。生徒及び児童一人一人の健康や安全を守る大切な基準となり、異物混入や食中毒が起こった際にも原因を追及しやすくなるためです。
検食は学校給食法で義務化されており、集団食中毒菌が発生する恐れと、二次感染を招くリスクがあるからです。過去にO-157やノロといった食中毒が発生し、生徒及び児童に害が発生したケースも存在しています。
そのため、学校給食衛生管理基準という明確な基準に沿って衛生的な調理環境や調理過程での作業動線の確保、食中毒が発生した際に速やかな原因究明するために食品の保存をするように記載されています。
検食は2種類!それぞれの違いを解説!
検食とは一体何をすればいいのか、と疑問を抱く方は少なくないです。検食には2つの検査手段があり、内容や意味も異なります。ここでは違いを詳しく解説します。
給仕責任者による試食の実施
まず1つ目は給仕責任者が試食をする方法です。ちなみに、学校の給仕責任者は校長先生にあたり、校長先生が不在の際は教頭先生が行います。
検食方法は調理が完了された給食を試食し、異物混入や異臭がないかを確認、加熱処理のチェックをし、検食簿に書き留めます。学校衛生管理基準に基づき、献立の内容、栄養状態の把握、1食分の適量さ、衛生的な状態であるか、味付けや香りなどの嗜好性を確認しています。
そのほかにも、肉に火がちゃんと通っているのか?アレルギー対応食にアレルギー物質が混入していないかなど細かく確認しています。
また検食は調理が完了されてから2時間以内に実施するのが望ましいとされ、給食の始まる30分前に終わらせる必要があり、万が一にも検食をして異常が確認できた場合、給仕責任者は給食の中止の判断を下せます。
検査用保存食を冷凍保管
検査用保存食とは保存容器に調理済みの食品や原材料を冷凍保存することをさします。なぜこのような保存方法をとるのかは、食中毒などの健康被害が発生した場合に備え、原因追及が容易になるからです。
保存方法は調理済みの食品や原材料を清潔な容器に密封し、-20℃以下の冷凍庫で2週間保存することが義務付けられています。
ここで大事なポイントは、保存量は最低50gとされており、また食中毒の病原物質が11日の潜伏期間をもっている可能性があるということです。
検査用保存食は適用対象が幅広い
検査用保存食は幅が広いのが特徴的で、食品製造業に関わる業者に義務付けられています。学校給食では主に試食における検食がメインにされていますが、病院や、介護施設、弁当業、旅館などは試食もありますが、検査用保存食が一般的です。さまざまな食品製造業で衛生検査が実施されていることで私たちの食と生命の安全が守られています。
まとめ
今回は検食の必要性と検食の2種類の違いについて解説しました。学校での給仕責任者が行う検食には、食の安全性を確かめ、生徒及び児童の生命を脅かす原因を排除する役割があり、問題を事前に防ぐ意味があります。一方で検査用保存食では食中毒などの健康被害が起こった際に原因を追求できるように日頃から備えておく意味合いがあります。今後も食の安全を守ると同時に食育の教育、興味を増やし、子どもたちの成長を手助けできる縁の下の力持ちであり続ける必要性があります。