給食サービスではアレルギーにどのように対応しているのか
食物アレルギーは家庭での食事はもちろん、保育園や学校給食などでもアレルギー対応が必要です。給食サービスではアレルギー対応の除去食や代替食を基本とし、子どもたちが安心しておいしく食べられるよう配慮されています。この記事では、アレルギーの危険性やアレルギー対応に求められるもの、給食サービスの柔軟性の魅力を解説しています。
「我慢すれば食べられる」は間違い!アレルギーの危険性とは
食物アレルギーは、命の危険にもつながる疾患です。個人によって症状や重症度など異なりますが、全身状態が急速に悪化する「アナフィラキシーショック」とよばれる症状もあり、命の危険につながることもあります。
食物アレルギーとは、ある特定の食べ物を食べたり触れたりしたあとに体や臓器にアレルギー反応があらわれる疾患です。原因は、食物に含まれる原因物質(アレルゲン)を異物として身体が過敏な反応を起こすためです。アレルギー反応の具体的な症状は以下の症状があります。
アレルギー反応の症状について
・皮膚症状
かゆみ・発疹・湿疹・じんましんなど
・呼吸器症状
咳・くしゃみ・鼻水・息苦しさなど
・消火器症状
吐き気・嘔吐・下痢
・粘膜症状
目の充血や腫れ・涙・口の中や唇、舌の違和感など
・意識症状
頭痛・元気がなくなる・意識がもうろうとするなど
この症状は、アナフィラキシーといい1つだけあらわれる場合もあれば、複数の症状があらわれることもあります。アナフィラキシー症状の中で、さらに血圧低下や意識障害など急激に全身に症状があらわれ、命の危険にまで影響するのがアナフィラキシーショックです。
食物アレルギーは我慢すれば食べられるという危険な考え方は間違いなので、必ず医師に相談し、診断や治療法に従い対応する必要があります。
給食のアレルギー対応に求められるもの
学校給食では、アレルギー持ちの子どもが安全に給食を食べられるように具体的な方針・マニュアルがあります。学校給食における基本的な対応は3つあります。
アレルギーの知識や症状の情報共有
学校生活管理指導表を活用して、ひとりひとりのアレルギーの有無、アレルギー症状の把握がされています。正確な情報が対応の基本となるため、医師の診察に基づいて管理指導表を記載し、その情報を保護者と学校が把握することが重要です。
誤食などの事故防止
学校給食の事故防止策は、4つあります。
・詳細な献立表による対応
・弁当持参の対応
・アレルギー物質除去食による対応
・代替食による対応
とくに、除去食と代替食の対応が学校給食において一番望ましいアレルギー対応方法です。学校では同じ空間で大勢の子どもが一斉に食べるため、食器の色分けや代替食、アレルゲン食材の記載など、事故防止の工夫がされています。
アレルギー反応を引き起こしたときの緊急対応
アレルギーを持つ子どもがアナフィラキシーショックを引き起こしたとき、担任の職員だけでなく関わるすべての職員が対応できるようにすることが必要です。エピペンというアドレナリン自己注射薬の使用方法があり、医師の治療を受けるまでに一時的に症状を緩和し、ショック症状を防ぐための対応です。エピペンの使用方法は、アレルギー持ちの子ども自身が医師から指導を受けているため、基本的には自分で注射を打ちます。
しかし、アレルギー反応の症状によって自分で打つことが難しい場合があるため、教職員全員でアレルギー児童の情報を共有し誰もが正しくエピペンを使えるようにしておくことが必要です。紹介した3つの対応を基本とし、除去食や代替食の徹底がアレルギー対応に求められます。
また「もし事故が起きたらどうするか」というリスクマネジメントについて、関係者全体で情報を共通理解し、学校内や調理場における対応マニュアルの整備が給食アレルギー対応に求められることです。
給食サービスなら柔軟に対応
給食サービスとは、学校や施設が「給食委託会社」という会社に給食内容自体を任せている事業です。学校や保育所などのイメージがありますが、高齢者やひとり暮らしの方に向けた給食サービスもあります。給食サービスの魅力はアレルギー対応を含め4つあります。具体的に解説します。
アレルギー給食の対応が可能
学校内の給食室で給食を作っているので、現場の職員と連携を取りながら情報共有しアレルギー持ちの子どもに対しての給食対応が可能です。給食導入前に保護者に説明会や試食会も実施している企業もあるので、不安や疑問も解消できるでしょう。
またアレルギー対応給食だけでなく、保育園なら子どもの成長に合った固さや形状の離乳食、高齢者なら咀嚼力に配慮した固さや少ない量でも栄養価の高い献立など、利用者に合わせた柔軟な対応ができます。
ニーズに合った幅広い食事の対応
学校や保育園、高齢者施設、病院などの幅広い施設のニーズに対応しています。アレルギー対応だけでなく、離乳食や病院食などそれぞれに合った幅広いメニューが可能です。年齢などに合った量の配慮もできるので、完食にもつながり食べる楽しさ、食べられたことの喜びや自信にもなるでしょう。
栄養バランスとおいしさの両立
ほとんどの給食サービスでは、管理栄養士と専門調理師が献立と調理を一任しています。家庭ではなかなか難しい毎日の手作りおやつも、給食サービスでは子どもたちの健康を考えた手作りおやつがあります。おいしく食べることで健康につながる食事、栄養バランスとおいしさの両立した給食時間が未来をつくるといってもよいのではないでしょうか。
行事など特別対応もでき飽きがこない
マンネリ化しない献立を考えたり、四季折々の行事食を旬の食材を使ったりすることで、献立に飽きず給食の時間が楽しくなるように配慮されています。すべての子どもに給食がおいしく楽しい時間となるようサポートしてくれるのが魅力です。
まとめ
現場の職員や給食サービス側の関係者全体でアレルギー持ちの子どもひとりひとりの情報共有と、アレルギー対応の知識やマニュアルの整備が、事故防止につながります。給食サービスでは、アレルギー対応を徹底するとともに栄養面や行事食などの献立にも配慮しています。アレルギー持ちでもそうでない子どもたちみんなが、安心しておいしく楽しい給食時間となることの参考になれば幸いです。