高齢者に適切な食事とは?介護食について考える
高齢者の食事は繊細であり、栄養バランスはもちろん噛む力等も考慮しなければなりません。とくに介護食には細かな基準があり、それらを一つずつ解決していく必要があります。また人それぞれさまざまな病気を持っているため、それらにも対応しなければなりません。当記事では、介護食を提供するにあたって注意したい点などを徹底解説します。
介護食とは
介護食は、食べる機能が低下した方に提供する食事です。術後食といわれることもあるものです。食べる機能は加齢および疾患によって低下するものであり、その低下する度合いも人によってさまざま。したがって安全・安心に食事をするための目安の指標として介護食のレベルがあるのです。
具体的には、噛むチカラおよび飲み込むチカラが弱い方のため、柔らかくかみやすいように調理した食事を指します。在宅で最期まで希望する高齢者やがん患者が増えています。今後、介護食の需要はどんどんと高まることでしょう。
調理方法
食材を細かく刻んだり、ミキサーに掛けたりするのが一般的です。それだけではなく、ペースト状やゼリー状にすることもあります。食事をとる人の噛む力・飲み込む力に合わせて、食材の大きさやかたさ、形状を工夫するため、オーダーメイドに近い感覚で提供されるのです。
介護食の種類と選び方
介護食と一言でいっても種類はさまざまであり、それぞれの選び方にも注目しなければなりません。
刻み食
箸やスプーンで切れる柔らかさが特徴です。口の中でバラけたり貼り付いたりしにくいのが特徴で、固いものや大きなものは食べづらい状態でありつつも、一定の飲み込むチカラはある方向けです。介護食の中では、もっとも一般の食事に近いものです。
ソフト食
「柔らか食」などともいわれるもので、カタチはありつつ歯を使わなくても歯茎ですりつぶせたり、舌と上あごで押しつぶしたりできるものです。固いものや大きな物が食べづらく、物によっては飲み込みづらいことがある方向けです。
見た目も通常食と似た感じに作れるので、食欲が湧きやすい、とのメリットもあります。ただまとまりがあって口の中でバラけない、水分が分離(離水)しない、といった仕様が求められるので、調理には一定の手間がかかります。
ミキサー食
ピューレ・ペースト状のものであり、スプーンですくって食べられる特徴があります。均質で滑らかであることが求められ、ベタつかずまとまりやすいです。細かくまたはやわらかければ食べられる方向けの食事であり、水やお茶が飲み込みづらいことがある方におすすめです。
食事の例としてはかき卵スープにとろろ汁、パン粥や粒のある粥、バナナなどがあります。ほかにもペースト状のおもゆ、くず湯、白身魚ペースト、野菜ピューレなども含みます。
ムース食
ゼリーやプリン、ムース状のものやとろみ水などを指します。少量であれば安全に丸呑みができる食事で、均質で滑らかさがあり、ベタつかずまとまりやすい、との特徴もあります。
固形物は小さくても食べづらく、水やお茶が飲みづらい方におすすめです。一般的な調理方法はなめらかにした食べ物をゼラチンやゲル化剤などを使って本来の形に成形する、というものです。調理には少し手間がかかりますが、見た目がよいため食べたい気持ちをアップさせてくれます。
介護食を提供するにあたって注意したい点とは
介護食は美味しく食べてもらう必要もあります。食欲を湧かすことができず、食事量が減ってはさらに健康状態が悪化しかねません。高齢者や介護を必要とする方に食事を安全に楽しんでもらうためには、どのようなことに気を付けて食事の介護をするとよいのでしょうか。ここでは介護食を提供するに当たり、注意すべき点を紹介します。
見た目を意識する
栄養バランスや食べやすさを重視するあまり、見た目を無視するケースが跡を絶ちません。そもそも本の料理および食材の形が見えなければ、何を食べているのか分からず食欲もわかないもの。したがって、見た目を意識した調理が必要不可欠なのです。
楽しい食事を意識する
単位栄養を接種するだけでは、食事は味気ないものになります。食事をする場、いわゆる環境にも注意をはらいましょう。季節の草花を添えるなどし、食卓に変化を出すのもおすすめです。また食器の色を食材が引き立つ白にしたり、おかゆであれば黒い食器にしたりするのもおすすめです。
利用者ひとりひとりに合わせた食事を提供するために
介護食には種類があり、一人ひとりにマッチしたものがあります。それらを自分たちの施設が運営する給食部ですべて管理するのは簡単ではありません。そこで有効活用してほしいのが、給食委託サービスです。給食を委託することで、利用者にあった食事が提供できます。
介護食を重視している業者もあり、利用者から高い評価を得ているところもすくなくありません。給食委託サービスを利用したことで、90%を超える利用者が「介助の負担が軽減された」とするアンケート結果も出ています。またそのアンケート結果では、被介護者の食事の様子が「食べやすそうだった」が80%を超えていることも明らかにされました。
「どちらかというと食べやすそうだった」を含めると100%になります。介護食系のサービスでは栄養士などの専門家も献立づくりに加わっているため、栄養の観点からも申し分のないメニューにしてくれます。食べ安さを重視するあまり「各種栄養がまったくなりたい」なんてことは起こりにくいのです。
まとめ
高齢者に適切な食事の一つである介護食について解説しました。介護食は複数の種類があるため、それぞれの方にマッチしたものを選ぶ必要があります。噛む力や飲み込むチカラにマッチした食事でなければ、高齢者も食べるのに一苦労です。ミスマッチが起こらないように、最適な食事を提供するのも施設側の義務の一つ。しかし自分たちだけで、それらの食事を用意するのは簡単ではありません。そこで活用してほしいのが給食委託サービスです。高齢者ごとに適した食事を提供できるようになるので、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。