なぜ給食に牛乳がでてくる?理由や歴史を解説!
給食における牛乳の提供は、子どもたちの成長に欠かせない栄養と、健康な食習慣を育むための重要な要素です。この記事では、牛乳が給食に取り入れられる理由やその歴史について解説します。栄養面や教育の側面から健康な成長を支える一杯の牛乳が、なぜ給食に欠かせないのか、詳しくご紹介します。
給食に牛乳がでてくる理由
学校給食の中で、牛乳が欠かせない存在として提供される理由は多岐にわたります。
子どもたちの健康な成長をサポートするために、牛乳が毎回の給食に含まれている背景には、栄養的な価値や法的な要因が影響しています。
法律で定められている
日本には学校給食に関する基準を定めた「学校給食法」という法律があります。
学校給食法は、全国的に一貫性のある栄養提供を確保し、子どもたちの健康な成長を支援することを目的としています。学校給食法は給食の内容や提供頻度に関する基準を定めており、その中には「ミルク給食」という項目があります。
このように、学校給食には牛乳が必要な一部として位置づけられているのです。
成長期に欠かせない栄養素が豊富
牛乳には豊富な栄養が含まれており、とくにカルシウムやタンパク質は子どもたちの成長に不可欠です。
カルシウムは骨や歯の形成に関与し、タンパク質は細胞の成長や修復に寄与します。その他にもビタミンやミネラルが含まれており、バランスの取れた栄養摂取を支援します。
牛乳が法的な要件とも合致する理由は、子どもたちの健康な成長を促進するための取り組みとして位置づけられているからです。
給食に牛乳が出てきたのはいつから
給食に牛乳が提供されるようになった背景と歴史は、戦後の食糧難や栄養問題が影響しています。
日本が第二次世界大戦を終え、戦後の復興時代に直面した食糧不足は、とくに子どもたちの栄養摂取に影響をおよぼしました。そのため、牛乳を給食に組み込むことで、健康な成長と栄養補給を図ったのです。
昭和21年(1946年)に、脱脂粉乳を水に溶かしたミルク給食が初めて導入されました。この時期、日本は食糧不足に苦しみ、栄養不足が深刻な問題となっていました。
こうした状況の中で、牛乳はカルシウムやタンパク質を豊富に含むため、子どもたちの成長に不可欠な栄養源として注目されたのです。ミルク給食の提供は、栄養補給と健康促進の手段として導入されたものでした。
その後、昭和33年(1958年)には国産の牛乳が提供されるようになりました。より新鮮で栄養価の高い牛乳が子どもたちに提供されるようになり、栄養補給の質が向上しました。
牛乳を飲まないとどうなる?
牛乳はカルシウムやタンパク質、ビタミン類などの栄養素を豊富に含んでおり、とくに骨や歯の健康な成長や維持に重要な役割を果たします。
そのため、牛乳を飲まない場合には、以下のような影響が考えられます。
カルシウム不足
牛乳はカルシウムの主要な供給源です。
カルシウムは骨や歯の形成に不可欠であり、成長期の子どもたちだけでなく、成人も充分なカルシウム摂取が必要です。牛乳を摂らない場合、カルシウム不足によって骨の健康が損なわれる可能性があります。
タンパク質不足
牛乳には高品質のタンパク質も含まれています。
タンパク質は細胞の成長や修復に関与し、免疫機能の維持にも重要です。牛乳を摂らない場合、必要なタンパク質が十分に摂取できない可能性があります。
ビタミン不足
牛乳にはビタミンDやビタミンB12なども含まれています。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の健康をサポートします。ビタミンB12は神経系のはたらきを正常に保ちます。これらのビタミンの不足は、身体のさまざまな健康へ影響をおよぼす可能性があります。
今後、給食の牛乳はどうなる
近年、食生活の多様化や健康意識の高まりにより、学校給食の内容に関する議論が広がっています。
その中で、給食の牛乳についても様々な視点から議論が交わされています。
食事内容のバリエーション
ひとつのポイントとして、食事内容のバリエーションが挙げられます。
かつては完全給食として主食やおかず、牛乳が提供されてきましたが、現代の食事嗜好や栄養バランスの変化から、提供される食材やメニューの見直しが進んでいます。給食における牛乳の位置付けも、同じように見直されていく可能性があります。
子どもの乳製品アレルギーや乳糖不耐症
乳製品アレルギーや乳糖不耐症といった個人の体質も考慮されるべきポイントです。
アレルギーを持つ子どもたちが増えている現代において、牛乳の提供には慎重なアプローチが求められます。代わりとなる栄養源の提供や、適切な情報提供が重要な課題とされています。
子どもの健康を一番に考えることが大切
学校給食の内容については、地域や学校ごとに異なる要因が影響します。
法律で決まっているとはいえ、その実施方法は多様であり、現代の食文化や健康観の変化に合わせて柔軟に対応する必要があります。
自治体によっては、給食の牛乳を廃止する動きも見受けられますが、その際には子どもたちの健康と栄養バランスを慎重に考えなければなりません。
まとめ
給食における牛乳の存在は、子どもたちの成長に欠かせない栄養素を提供し、健康な食習慣を育む重要な要素となっています。牛乳はカルシウムやタンパク質を豊富に含み、骨や歯の健康に貢献します。歴史的には戦後の食糧不足を解消するために導入され、その後も栄養補給の一環として提供されてきました。今後も、健康志向や食の多様性に合わせて選択肢が増えていくかもしれませんが、牛乳の役割は子どもたちの成長を支える一助として変わらないでしょう。